栄養分析の方法は?近赤外分析装置を使った栄養分析、測定方法について解説

食品加工メーカーなどの企業だけではなく、個人の健康管理の一環としても活用されている栄養分析。栄養分析の方法は化学的な分析が主流となっていますが、近赤外分析装置を使って栄養分析することもできます。そこでこの記事では、栄養分析の方法について、および近赤外分析装置を使った栄養分析や測定方法について解説していきます。

栄養分析の方法

栄養分析は、近赤外分析以外にも化学分析法やアイソザイム分析法など、さまざまな方法があります。栄養分析の目的やサンプルの性質に応じて選択されますが、より正確な栄養分析結果を得たい場合には複数の方法を組み合わせるケースもあります。

#化学分析法

化学分析法は、食品サンプルを化学的に分解し、その成分を分析・測定する方法です。化学分析法を使うと、タンパク質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの栄養成分を測定することができます。化学分析法は、高速液体クロマトグラフ法(テオブロミン分析法)が一般的です。

#アイソザイム分析法アイソザイム分析法は、酵素を利用して栄養成分の含有量を測定する方法です。具体的には、生物の組織や細胞から抽出した酵素を用いて特定の反応をおこし、素材を電気泳動によって分離・解放します。

#分光法分光法は、食品に含まれているタンパク質、脂質、糖質、ビタミンなどの栄養成分を測定するための手法です。具体的には、食品に光を照射し、吸収した光の量を測定することで栄養成分を測定します。#そのほかの方法

栄養分析をする際には、上記以外に質量分析計(MS)、核磁気共鳴分光法(NMR)、電気泳動法などの分析機器を使用することもあります。

質量分析計は食品サンプルをイオン化して栄養分析・測定する機器で、核磁気共鳴分光法は原子核に生じる磁気を利用して食品内に含まれている栄養素を測定する機器です。電気泳動法は、電気を利用して食品サンプルを分離・分析する機器です。

近赤外分析装置を使った栄養分析

近赤外分析装置を使った栄養分析とは、近赤外線を用いて食品に含まれている栄養成分や含有量を測定する方法です。具体的には、タンパク質、脂質、炭水化物、水分、飽和脂肪酸などを測定することができます。近赤外分析装置は、近赤外線の光を食品サンプルに照射し、その光が吸収されるか散乱されるかによって栄養成分を測定する機器です。

非破壊的な手法なので、食品の外観や風味に影響を与えずに正確な栄養価を測定することができます。また、一つのサンプルに対する測定が数秒~数十秒で完了するなど、高速な分析ができるという点も特徴です。加えて、サンプルの前処理や添加物の使用は行われないので、化学分析法よりも効率的な方法といわれています。

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近赤外分析装置を使った栄養分析の測定方法

近赤外分析装置を使用した栄養分析の測定方法は、一般的に以下のような手順で行われます。

#サンプルの準備近赤外分析装置を使用した栄養分析は、まず対象となる食品サンプルを正しく準備することからスタートします。食品や農産物の場合には、サンプルを粉砕、または粉末化するなどの前処理を行う場合があるので注意が必要です。

また、サンプルの均一性を確保するために、食品を乾燥させるケースもあります。#近赤外分析装置のセットアップ続いて、近赤外分析装置を正しくセットアップします。セットアップの際には、近赤外線の調整、温度制御などを行うのが一般的です。

#近赤外スペクトルを照射次に、食品サンプルに近赤外スペクトルを照射します。ちなみに、正確な結果を得るためには、あらかじめ補正曲線を適切に作成しておかなければいけません。#データの測定、および解析と結果続いて、測定されたスペクトルデータを基にして、タンパク質、脂質、炭水化物、水分などの各栄養素の解析、栄養成分の含有量を測定します。

最終的にはソフトウェアを用いて、データの解析と結果を表示します。

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近赤外分析装置を使った栄養分析を行っているのは?

近赤外分析装置を使った栄養分析が行われているのは、食品や農産物の栄養成分を測定する機関です。具体的には、惣菜、弁当、サンドイッチ、揚げ物など加工食品を販売している企業、食品の安全性や栄養価に関する研究を行っている食品研究機構などが挙げられます。

また、アメリカ合衆国の農業、食品、栄養に関する政策立案を担当する政府機関・米国農務省(United States Department of Agriculture)でも近赤外分析装置を使用して栄養分析を行っています。

近赤外分析装置を使った栄養分析は個人で依頼することも可能です。例えば、疾患の予防や治療、体調管理などを目的とした場合や、ダイエットを目的とした場合、自家製の食品や加工品の栄養成分を把握する場合などに活用されています。

また、スポーツ選手の栄養管理や肉体改造を目的として活用されるケースもあります。ただし、個人の判断で利用するケースはほとんどありません。基本的には、栄養分析専門家のアドバイスや指導を受けながら、近赤外分析装置による栄養分析サービスを活用することが多いです。

栄養分析を依頼する際の注意点

栄養分析を依頼する際には、信頼性の高い企業や研究所が提供しているサービスを選ぶことが重要です。具体的には、実績が豊富であるか、利用者の評価が高いか、サービスの提供内容や方法が希望に適しているか、データ保護に関するポリシーを明確にしているかなどが挙げられます。

また、価格や支払い方法、サービスの提供期間など、契約条件を明確に把握しておくことも大切です。特に価格はサービス提供機関によって異なり、また依頼するサンプル数によっても異なります。ちなみに、糖質、脂質、タンパク質などの基本の栄養素をまとめて依頼すると利用料金が割引されるケースもあるので、あらかじめ各社の料金を比較検討しておきましょう。

その他には、サンプル食品を適切に保管・送付することも大切です。保管状態が悪ければ、食品サンプルから正しい栄養成分を測定できません。そのため、保管温度や梱包方法など、サービス提供機関が定めた指示を厳守して送付するようにしましょう。

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近赤外分析装置を使った栄養分析はメリットが多い

栄養分析の方法は様々ありますが、近赤外分析装置を使った栄養分析を利用すると、測定時間が短く比較的コストが安いというメリットがあります。また、素材を破壊せずに測定できるため、食品サンプルを再利用することも可能です。

企業だけではなく個人で活用することもできるので、健康管理や体調管理に役立てる人も見られます。