灰分の栄養分析!ミネラルとの違いや栄養価、灰分が含まれている食品について解説

市販の食品に記載されている栄養成分表示。この栄養成分表示には、灰分という栄養素が表示されていることがあります。しかし、灰分と聞いてどのような栄養素かピンとくる人はあまりいないのではないでしょうか?そこでこの記事では、灰分やその栄養分析方法について解説します。

同時に、灰分とミネラルとの違い、灰分に含まれている栄養価や灰分が含まれている食品についても解説します。

『栄養分析とは?成分表示の見方や計算方法を徹底解説!』

栄養成分表示とは

栄養成分表示とは、食品や飲み物の栄養成分の量を示す表のことです。食品のパッケージサイズなどによっても異なりますが、基本的には食品100gあたりに対する栄養成分の量を記載しています。栄養成分表示を活用すると、自分の栄養摂取目標に合わせた食事プランを立てることも可能です。

例えば、糖尿病のような基礎疾患を持つ人などが、特定の栄養成分の摂取量を制限しなければいけない場合に役立ちます。#栄養成分表示に記載されている栄養素栄養成分表示に記載されている項目は、食品100gあたりのエネルギー量を示すカロリー、タンパク質や脂質、炭水化物、ナトリウムなどの主要な栄養素のほか、マクロ栄養素、カリウムや鉄分などの主要なミネラル、ビタミンCやビタミンA、ビタミンDなどのビタミン、食品繊維なども任意で表示されています。

その他には、コレステロールや糖分、飽和脂肪酸などが記載されている場合もあります。灰分は必須表示項目ではありません。

灰分とは

灰分とは、食品や飲み物に含まれる無機成分のことです。灰分は、直接灰化法という栄養分析手法で、有機物を550~600℃の温度で熱し、灰化して残存したものの総量から測定します。灰分は骨や歯の形成、神経伝達、体液バランスなどに重要な役割を果たすものです。

灰分の量は食品ごとに異なるため、食品に表示している栄養成分表示などを確認することを習慣づけましょう。日ごろからチェックしていると、灰分などの微量元素がどの程度食品に含まれているのかを把握することができます。

ちなみに、灰分は「かいぶん」と読みます。間違って「はいぶん」と読む人が多いので注意が必要です。

灰分とミネラルとの違い

灰分とミネラルは、栄養素としての意味合いが違います。ミネラルとは、カルシウムやナトリウム、マグネシウム、鉄、リン、カリウムなどの栄養素のことです。一方の灰分とは、ミネラルの総量のことを示します。灰分が高くなるに従い消化吸収率は低くなるのが一般的です。

ちなみに、ミネラルは種類が非常に多く、地球上に約118種類以上存在するといわれています。この内、人間が必要とするミネラルは約30種類で、これらのミネラルが不足すると様々な生活習慣病を引き起こすといわれています。

ちなみに、人間の体内でミネラルが占める割合は約4%です。

灰分の栄養価

灰分は、無機成分であるため直接的な栄養価はありません。しかし、灰分の構成成分であるミネラルには骨や歯の形成に欠かせないカルシウムやマグネシウム、血液酸素ケアに関与する鉄などが含まれています。ミネラルは大人にとっても重要な栄養素ですが、特に成長期の子供は積極的な摂取が推奨されています。

灰分には栄養価がないといっても、先述したように人間の体内にはミネラルが必要です。そのため、灰分は栄養の一つとして摂取するのではなく、体調を整えるために必要な成分と認識すると良いでしょう。

灰分が多く含まれている食品

灰分が多く含まれている食品は、穀物や豆類、野菜、キノコ類など数多くあります。基本的には、植物・穀物由来の食品には灰分が含まれていると認識しておくと良いでしょう。#豆類豆類も灰分を多く含んでいる食品の一つです。

灰分は大豆や落花生、小豆などの一般的な豆類はもちろん、インゲンやササゲなどのつる性の豆類にも含まれています。

ただし、より灰分を多く含んでいるのは、タンパク質や食物繊維、ミネラルを多く含んだ一般的な豆類です。#野菜野菜も灰分を含んでいる食品として挙げられます。特に灰分を多く含んでいる野菜は、ほうれん草やケール、ブロッコリーなどの葉野菜、ニンジン、ジャガイモなどの根菜です。

これらの野菜はミネラルや食物繊維を豊富に含んでいるため、同時に灰分も多く含まれています。#キノコ類キノコ類も灰分を含む食品の一つです。特に多く含まれているのは、マイタケ、エノキタケ、ブナシメジです。ちなみに、一般的によく食べられているシイタケは余り灰分を含んでいません。

#藻類灰分を多く含む食品の中には藻類もあります。特に灰分を多く含んでいるのは、刻み昆布、乾燥わかめ、アオサ、ひじきです。逆に灰分が少ない藻類は、寒天やところてんの材料であるテングサ、おきうとの原料であるえごのり、酢の物で使われることが多いモズクが挙げられます。

#果実類

灰分を多く含む食品には果実もあります。特に多く含まれているのは中国栗、アボカド、ドリアン、バナナです。その他には、キウイやメロン、イチゴ、いよかんにも灰分は含まれています。#灰分は調味料にも含まれている

灰分は調味料にも含まれています。特に多く含まれているのは、食塩や化学調味料、固形ブイヨン、ベーキングパウダーです。

牛乳の過剰摂取は灰分の吸収を阻害するのか

「牛乳の過剰摂取は灰分の吸収を阻害する」という情報を耳にしたことがある人がいるのではないでしょうか。しかし、一般的な摂取量(1日当たり約200ml)であれば、灰分の吸収を阻害することはありません。灰分が体内に不足することを「脱灰(だっかい)」といいます。

脱灰が起こると、骨からカルシウムが溶け出してしまうため、骨粗しょう症などのリスクが上昇します。そのため、「骨粗しょう症を防止するために牛乳をたくさん飲んでいる」という人は注意が必要です。2015年に厚生労働省が行った「日本人の食事摂取基準」という調査では、牛乳などのたんぱく質の摂取量が総エネルギーの20%を超えると脱灰を引き起こすと記載されています。

マグネシウム不足も灰分の吸収を阻害するといわれています。マグネシウムが多い食品は、穀類や豆類、海藻類、野菜・果物類、芋類です。マグネシウムは灰分の構成要素であるミネラルの一つなので、基本的に灰分を適量摂取しておけば不足することはありません。

灰分は人間の体に欠かせない成分である

灰分は直接灰化法という栄養分析手法で測定され、栄養成分表示に記載されていることもありますが、必須表示項目ではありません。灰分は人間の健康を維持するためには欠かせない成分であるため、常日頃から適切な摂取量を心掛けておくことが大切です。

灰分をバランスよく摂取することは、身体の健康だけではなく、精神的な安定にもつながってくるので、積極的に摂取するようにしましょう。

『栄養分析とは?わかりやすく解説します!』